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築120年の90坪古民家をリノベーション

築120年の古民家リフォームの様子です。
コアな話が多いのですがご紹介します。

【Before】

【After】

 

老朽化が進んだ箇所もあり、家全体を住み心地の良い家にしてほしいというご依頼でした。
新築・住替えも検討されていましたが、「価値ある建物なのでずっと残していくのはどうでしょうか?」と提案させて頂き、「先代から受け継がれた家ですものね。暖かく安心して住めるならまたこのに住もうかな。」と、思い切ってリノベーションすることになりました。

落ち着きのある漆喰の外観
コシ板は、杉の赤身を使った押縁下身板張り(オシブチシタミイタバリ)です。
昔から使われている銅板樋(トイ)は再利用して残しました。

昔から使われていた銅板の同細工の集水器(アンコー)も残して再利用しました。

 

土台は湿気で木が腐るので欅材の赤身を使用しました。
このような床下土台換気は昔から使われている技法です。
現代ではプラスチック製の基礎パッキンが主流となりました。
鏡板は羽田さんが一枚一枚手作業で造りました。

ここはあえて欅の赤身を使った土台パッキンを使用しました。
神社にも昔から使われています。
松の木の大梁が印象的なエントランスです。

土間は広々としたゆとりさを残しつつ、靴を脱いでから上がりやすい段差高に調整しました。

 

以前からあった120年前に使用されていた欅材をきれいに外し、再度削りなおすことでまた復活することができました。
年数が経っている欅材はさらに強度を増し、またツヤも何ともいえない赤色が濃く現れ本当に綺麗です。これは古材の特権ですね。

床はチーク材を使用しています。

杉の杢を使った装飾建具。これも当時の職人さんの手作りです。
まるでアートのような美しさです。

土間を抜けるとダイニングキッチンに続きます。腰板は杉板を使用しています。

ケヤキの天板を使ったオリジナルキッチン。

キッチンはけの一枚板を使用したセンターキッチン。
開放感があり会話がしやすいレイアウトで、キッチンの木目が良いアクセントになっています。

吹き抜けを設け、開放的なダイニングキッチンにしました。
また柱はきれいに磨き何とも言えない色がでます。

欅の鴨居造り
大工としてしびれる造りです。
鴨居の幅が1.3尺あります。これは貴重ですね。
120年前の機械がない時代にこの欅を製材すること、ノコギリ等で手作業で製材することだけでも、当時の職人には頭が上がりません。

 

織物襖紙がありましたのでそのまま残しました。
この襖紙も人の手で1枚1枚丁寧に織られています。

当時の鍛冶屋が作ったのであろう銅製の引き手。
花や鳥の彫刻がされており、これひとつとっても眺めていたくなるような美しいデザインです。

障子が取れる昔懐かしいデザイン。

動画の中に欅の鏡戸が移っていますが、こちらの扉はかなり貴重です。

古き良き千本格子の建具です。
冬は障子をつけて、夏は障子を外し風通しも良くできています。
昔からの二面使いの建具。

床の間
床柱はカリン、違い棚を設け床は欅の一枚板です。

カリンの床柱は赤を貴重とする柱。
120年前にカリン材を手に入れたことはかなり貴重だということが分かります。

書院
120年前に手作業で造られた書院組子障子です。

床脇天袋
金箔紙を使用しています。

黒松の天井板。かなり汚れていますが、価値ある黒松を壊してまで新しく施工することはさすがに大工としてできませんでした。
黒松の価値が分かる職人が今何人いるんでしょうね。私には壊せなかったです。
金額的な価値で言えば、1部屋のこの板だけで数百万はするでしょう。

手作りの乱間。

長押
銅製の釘隠しです。細かいところまで素敵ですね。

【2階】

小屋裏が広いので二階を造りました。松丸太の強さを表現しました。

天井高を限界まで上げ、小屋組を表しました。

 

【Before】

【After】
外壁は漆喰、腰板、押縁、下身板、赤身の杉材を使っています。

【工事中の様子】
土壁を剥がして、耐震補強のため筋違い補強を行いました。
土台の大引きの損傷が激しかったため組みなおしています。柱・家の傾きがひどく家おこしもしました。
その後、ベタ基礎にして全体的に地盤を補強。
盃石に鉄筋を絡ませ、またアンガーボルト施工することで耐震補強をしています。
土台が弱いため、建物のねじれが起きないように土台火打ちを入れ更に補強。
下地の板もさらに100年は持つように、従来のベニヤによる施工をせず、すべて24mmの杉板を下地材にしました。
ベニヤが100年もつとは思えないからです。